あなたの思う黄緑とわたしの思う黄緑は違うかもしれない
以前 Twitter でこんなアンケートをとりました。
母数が少なくて申し訳ありませんが、この件数でも回答が割れています。
つまり、 人によって「黄緑」と思う(感じる)色が異なる という事です。
不思議ですよね?
この記事では色の見え方の違いと、その理由にフォーカスをあてていきたいと思います!
目次
黄緑の定義
黄緑ってどんな色?
黄緑(きみどり、おうりょく)は、黄色と緑の間色。
黄緑を示す単色光の波長は、およそ545nmから565nm程度であり、短波長になるほど緑みがかった色に、長波長になるほど黄みがかった色になる。
下の色見本で、左は黄みの黄緑、右は緑みの黄緑である。
Wikipediaによると、 黄色と緑の間の色 という非常に曖昧な定義がなされています。
さらには 黄みの黄緑 や 緑みの黄緑 といったワードも出てきて 曖昧さここに極まり といった感じです(笑)
最初に出てきた4色も黄緑
冒頭に出てきたツイートの4色。
実はすべて黄緑として定義される色になります。
①Chartreuse Green(シャトルーズグリーン)
フランスのグルノーブルに設立された修道院の名前がシャトルーズ。
その修道僧が作ったリキュールが黄と緑のどちらともいえない色をしていたので、その色の色名にこの名前が与えられたと言われています。
ちなみにリキュールの方は「シャトリューズ」と呼ばれたり「シャルトリューズ」と呼ばれたりしていて、色名とは一致していません。
個人的にすごく好きな色の一つです。
②若草色(わかくさいろ)
早春に芽吹いた若草のようなあざやかな黄緑のことです。
③の「萌黄」と同じ意味合いのいろですが、こちらのほうがより黄みが強く若さを感じさせる色です。
③萌黄(もえぎ)
春に芽吹く若葉のような黄緑色を表す伝統的な日本の色名です。
「萌葱」と書くこともあります。
④Leaf Green(リーフグリーン)
直訳すると木の葉の緑色という色名です。
芝生の色であるグラスグリーンとともに自然の黄緑色を表す分かりやすい色名の黄緑です。
色はそもそも曖昧なもの
ここまででたくさんの黄緑が出てきました(笑)
ここまで読んできた人なら 「この部分は黄緑でおねがい」みたいなお願いをされると困ってしまう ことが分かったと思います。
このような曖昧さは赤や青でも同様で、一部の例外を除いては絶対的な色はありません。
では、 なぜ色はあいまいなのでしょう?
色の曖昧さの原因
「 色彩とは何か? 」という考えについて、古くは古代ギリシャのプラトンやアリストテレスにより書き残されています。
紀元前4世紀ごろの話です。
そんな昔から人は色に興味を持ち、学んできました。
最初は植物や鉱物の染料や顔料から色を抽出することから始まり、光を発見し、合成染料を発見し…
その度に様々な科学者や芸術家が色彩論を研究して色の定義が進みました。
つまり、 色は定義して出来上がったのではなく、元々あったものを後から定義されて 色として認識されたのです。
「この若葉は良い色だ。若草色と名付けよう」としてうまれた色(色名)が、のちに定義された黄緑という色相の範囲にあてはめられているため、たくさんの黄緑が存在し曖昧さにつながっているのです。
曖昧な色を伝えるための方法
色はあいまいなものです。
でも、色は身近なものです。
色を伝えなければならないシーンはたくさんありますが曖昧な色をどう伝えればよいのでしょうか?
色相で伝える
色相とは「赤」「青」「黄緑」といった色合いを表す言葉です。
すでに説明しましたが、色相を使った色の伝達では曖昧すぎて難しいですね。
色名で伝える
「シャトルーズグリーンでお願いします」
良さそうですね!
伝わる気がします。
聞いた人は「シャトルーズグリーン…聞いたことがない色だけど調べればコードが出てくるだろう」とOKを出すでしょう。
そして驚愕するのです…
紹介サイトによってコードがちがうぅっ!!
と。
色名も結局のところシャトルーズっぽい色として付けられたにすぎません。
曖昧なのです。
そうなると色名でも人に伝えることは難しそうです。
via. Encycolorpedia
via. COLORS MATSUYAMA
via. Colors in Japanese
コードで伝える
結局のところ明確に定義されたコード値が確実だと思います。
#d3e173
などの16進数で表したものでもよいですし、RGB、HSV、HLS、専門的なものだとマンセル値などでもいいでしょう。
相手がわかる体系のコードで伝えれば概ね認識の齟齬はなくなります。
“概ね”と書きましたがコードも万能ではありません。
色というものは「まわりの明るさ」「隣接する色」「色を表現するものが何なのか(印刷物なのか、ディスプレイなのかなど)」などにより見え方が大きく異なります。
コードとあわせて実際の色がわかる画像なども用意 して、齟齬が小さくなる工夫をするとよいですね。
おわりに
色があいまいで、人に伝えることがいかに難しいか をまとめてみました。
色彩検定などで学問として色を学ばないとなかなか気づかない内容だと思います。
この記事を通して「色の伝え方」を覚えてもらえたり、使ってもらえてりしたら嬉しいです!
今後も色についてのコラム(?)的なものを書いていこうと思いますので、興味があれば覗いてみて下さい!!
以上、あずきしろもち(@azukisiromochi)でしたー!