色彩検定1級は1次試験と2次試験に分かれており、特に 2次試験の難易度は高く独学での合格は難しい といわれています。

独学をあきらめた場合はスクールに通ったり通信教育をすることになり、費用面での負担が大きくなる などの理由で踏み込めない人も多いようです。

そんな 色彩検定1級2次試験を独学で合格するにいたった勉強法 を数回にわたって公開したいと思います。

今回のテーマは「PCCSトーン」!

独学で合格を目指す人の参考になれば幸いです!

目次

  1. 勉強法を知る前に…
    1. PCCS トーンとは?
    2. トーンの種類とイメージ
  2. 勉強法
    1. トーンとイメージを暗記する
    2. トーンの彩度と明度を暗記する
    3. 暗記するときのコツ(覚え方)
      1. ① 左右対称である
      2. ② 明度差を覚える
      3. ③ トーンごとに最初に書く明度を覚える
      4. ④ 下3つは同じ明度
      5. ⑤ 低彩度域の覚え方
      6. ⑥ 中彩度域の覚え方
      7. ⑦ 高彩度域の覚え方
      8. ぜんぜん覚えられないですッ!!
  3. 活用方法
    1. この勉強法が活きる問題
    2. 実践
  4. おわりに

勉強法を知る前に…

PCCS トーンとは?

色には 色相 (赤・青・黄などの色の違い)、 明度 (明るい・暗い)、彩度 (濃い・薄い、または強い・弱いなど)の3種類の要素があります。

このうち 明度と彩度を組み合わせて表現したのがトーン(色の調子)です。

下の図のようにトーンには名前が付けられており、例えば ビビッドなら “さえた”、”鮮やかな” などの意味を持っています。


PCCS トーンマップPCCS トーンマップ

via. PCCSのトーン | 日本色研事業株式会社

トーンの種類とイメージ

それぞれのトーンが持つイメージをまとめています。


トーン イメージ
v (vivid)/ ビビッド さえた、鮮やかな、派手な、目立つ、いきいきした
b (bright)/ ブライト 明るい、健康的な、陽気な、華やかな
s (strong)/ ストロング 強い、くどい、動的な、情熱的な
dp (deep)/ ディープ 深い、濃い、充実した、伝統的な、和風の
lt (light)/ ライト 浅い、澄んだ、子どもっぽい、さわやかな、楽しい
sf (soft)/ ソフト 柔らかな、穏やかな、ぼんやりした
d(dull)/ ダル 鈍い、くすんだ、中間色の
dk (dark)/ ダーク 暗い、大人っぽい、丈夫な、円熟した
p (pale)/ ペール 薄い、軽い、あっさりした、弱い、女性的、若々しい、優しい、淡い、かわいい
ltg (light grayish)/ ライトグレイッシュ 明るい灰みの、落ち着いた、渋い、おとなしい
g(grayish)/ グレイッシュ 灰みの、濁った、地味な
dkg(dark grayish)/ ダークグレイッシュ 暗い灰みの、陰気な、重い、固い、男性的
w(white)/ ホワイト 清潔な、冷たい、新鮮な
Gy(Gray)/ グレイ スモーキーな、しゃれた、寂しい
Bk(Black)/ ブラック 高級な、フォーマルな、シックな、おしゃれな、締まった

勉強法

色彩検定1級2次の勉強法ですが、トーンまわりの知識に関しては 基本的に暗記 しないといけません。

というのも 試験問題がトーンの知識にあまりにも依存している傾向があり、覚えていないと手も足も出なくなってしまう からです。

私自身が暗記が苦手なので、覚えるために工夫したことを紹介します。

トーンとイメージを暗記する

上記「トーンの種類とイメージ」に記載した内容を覚えます。

実際の試験の問題文には

  • 女性的な イメージの配色を提案したい
  • 穏やかな イメージのある中間色のトーンの色

などと表記されるため、イメージからトーンを連想できるようにしておきましょう。

私の場合は、 古の魔法器 「暗記カード」を使って覚えました。


トーンとイメージを対応させた暗記カードトーンとイメージを対応させた暗記カード

トーンの彩度と明度を暗記する

トーンの彩度と明度を覚えます。

トーンごとの彩度と明度をまとめた画像を用意しました。


トーンの彩度と明度トーンの彩度と明度

トーンの円は色相環を表しており、その内側に記載されている数字は色相番号です。

2なら赤、8なら黄、といった感じです。

紫色の円の中に記載されている数字が彩度です。

色相環の周りに記載されている数字が明度です。

暗記する量多いですよね?

私は絶望しました(笑)

暗記するときのコツ(覚え方)

絶望した私がどうやって暗記できたか?

実は トーンの明度にはいくつかルールがあります。

ルールに気づいてからは少しずつ暗記ができるようになりました。

そのルールを紹介します!

① 左右対称である

注意深く見ればわかりますが トーンの明度は左右対称 になっています。

つまり 21441261016241822がそれぞれ同じ明度 です。

左右の明度が同じということは、片方だけ覚えれば良いということです。

② 明度差を覚える


トーンごとの明度差トーンごとの明度差

彩度(低彩度、中彩度、高彩度)の単位で覚えると覚えやすいです。

それぞれの彩度域でひとつ仲間はずれがいる ので、そこを意識すれば覚える情報は少なくすみます。

③ トーンごとに最初に書く明度を覚える


トーンごとに最初に書く明度トーンごとに最初に書く明度

ルールごとに色分けしていますのでそこに着目してみてください。

  • 紫:vdgは最低明度が同じです
  • 橙:sflgyは最高明度が同じです
  • 青:dkgdkdpは低彩度から順に1.52.02.5です(0.5ずつ上昇
  • 黄:pltbvについて pがすべてのトーンで最大の9.0v8.0、その間に挟まれる2つのトーンは8.5

上で紹介した②とこのルールを組み合わせると すべてのトーンの最大明度、最小明度が決まります。

④ 下3つは同じ明度


トーンの下3色は同じ明度トーンの下3色は同じ明度
  • トーンの下の3色、つまり 182022は明度が同じ です。

上で紹介した②と③で各トーンの 最小明度が決まれば、下の3色の明度が決まります。

⑤ 低彩度域の覚え方


低彩度域の覚え方低彩度域の覚え方
  • 紫:トーンの中で明度が同じです
  • 青:トーンの中で明度が同じです
  • 黄:明度の差がそれぞれ 0.5 です

低彩度域は比較的覚えやすいと思います。

pだけルールが違います が、明度差はどれも 0.5 で覚える明度の数も少ないので、確実に抑えていきましょう。

⑥ 中彩度域の覚え方


中彩度域の覚え方中彩度域の覚え方
  • 紫:トーンの中で明度が同じです
  • 黄:明度の差がそれぞれ 0.5 です

中彩度域は低彩度のトーンよりも明度をたくさん覚えないといけませんが、となりあう明度の差がすべて 0.5 になっている ので難しくはありません。

dkだけルールが違います が、紫(同一明度)のところを除けば他と変わりません。

⑦ 高彩度域の覚え方

高彩度域の覚え方高彩度域の覚え方
  • 紫:明度の差がそれぞれ 1.5 です
  • 青:明度の差がそれぞれ 1.0 です
  • 黄:明度の差がそれぞれ 0.5 です

個人的には高彩度域が一番覚えにくいです。

下3つの色以外は同一明度の色がなく、明度差を覚えるしかありません。

vとそれ以外でルールが異なる点にも注意です!

ぜんぜん覚えられないですッ!!

心中お察しします(笑)

私も暗記を始めたころ、何も見ずにトーンマップを書いたら正解しているところのほうが少なかったです。

トーンマップは試験開始の直後にMEMO欄に書いて活用 することになりますが、 試験勉強中もまずはじめにトーンマップを書くようにしました。

10分くらい(慣れるまでは15分くらい)で終わるので、試験の予行演習だと思ってやってみてください。

数週間すれば暗記が出来ていると思います!

活用方法

この勉強法が活きる問題

色彩検定1級2次試験では問題(1)から(4)まで用意されています。

このうち 問題(2)(3)(4) でトーンを用いて色を決定する問題が含まれます。

(今後、試験問題が変更された場合はこの通りではないかもしれません)

つまり、 2次試験の大部分はトーンの知識が役に立ち、逆に知識がないと解くことが難しい という事です。

次の「実践」で具体的な問題を取り上げていますので、トーンの使い方を覚えていってください。

知識があるだけで使い方を知らなければ宝の持ち腐れになってしまいます からね。

実践

商品の配色を考える問題で、3色配色を求める問題の例です。

  1. ベースカラーに「ターコイズブルー」とする
  2. 色相の関係をスプリットコンプリメンタリーとする
  3. ベースカラー以外の2色は中彩度領域の同一明度の色とする

ベースカラー 「ターコイズブルー」という色名が出ていますのでトーンで考えるとb16(ブライトの緑みの青)です。

(色名からカラーコードを決定する方法は別の回で紹介する予定です)

次のヒントがスプリットメンタリー配色です。

これにより、 ベースカラーに対して色相環の反対側にある色(補色)の両隣が残りの2色 であることがわかり、色相が26であるということが決定します。

最後のヒントで「 中彩度領域 」「 同一明度 」という2つのワードが出てきました。

中彩度領域というのはltsfddkが該当 します。

これらのトーンの色相26を比較して 明度が同じものの組み合わせはlt2+(ライトの赤)とsf6(ソフトの黄みのだいだい)しかありません。

このような流れで問題を解いていくことになりますが、トーンの知識をしっかりと身に付けておけば トーンマップのみで問題が解けてしまうくらいに強力 です。

覚えるのは大変ですが、「暗記するときのコツ(覚え方)」などを駆使してマスターしてくださいね!

おわりに

いかがだったでしょうか?

実践」の解法を見ればトーンの知識がいかに大事か理解いただけたと思います。

私も不合格だった1年目は トーンについて曖昧な知識のまま挑んだため、無駄に配色カードを組み合わせたりしていました。

実際は カードなんてめくらなくても解ける問題 だったんですけどね(笑)

覚えるのは大変ですが、しっかりと知識をつけることが合格への近道です。

色彩検定1級2次試験を受けるのであれば、ぜひトーンをマスターして挑んでみて下さいね!

以上、あずきしろもち(@azukisiromochi)でしたー!